宗祖弘法大師御入定千二百年御遠忌大法会まで
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宗祖弘法大師御入定
1200年御遠忌大法会
詳細情報

宗祖弘法大師御入定千二百年御遠忌大法会

  • 開白:2034年(令和16年)4月2日
  • 正当日旧正御影供:2034年(令和16年)5月9日
  • 結願:2034年(令和16年)5月21日

50年に一度、全国の僧侶が集まり、山を挙げて繰り広げられる一大行事、それが高野山における御遠忌大法会です。お大師さまが御入定されてから幾星霜、この高野山では代々御遠忌大法会が執り行われ、お大師さまの祈りと御教えを後世に継承してきました。こちらでは主に、前回50年前の1150年御遠忌大法会の記録を紐解きつつ、我々にとって御遠忌大法会とはいかなるものかを皆様に知っていただければと存じます。

奥之院開白法会

四月一日午前七時五〇分、小雨 気温4度 開白奉告文が奉読されるに及び、堂内は、今、大師とともにありという法悦と、50年にただ一度の機会を共有できたことへの感謝に満ち溢れた。

『弘法大師御入定御遠忌紀要』より

正当日法会
正当御遠忌大法要(庭儀大曼荼羅供)

螺と鐃の響き渡る中、稚児の手に握られていた風船が放たれ、これを合図に大塔二層部より三万枚の散華が撒かれ、花の種を結びつけた風船2千個が一斉に空に舞い上がると、庭儀は最高潮、壇上は興奮の坩堝と化し、どよめきと歓声の中、参詣者は争って散華を拾いあった。

『弘法大師御入定御遠忌紀要』より

仁王会(世界平和祈願法会)

仁王般若経というお経を読誦し、世界平和を祈念する法会。御遠忌大法会など、特別な行事においてのみ執行される。

「今は祈りよりも、行動すべき時であるという批判も、また迫り来る破滅を前に、祈りは無力であるとの意見もないわけではありませんが、我々は祈ることを止めません。人間を超え、人間を見つめ、人間をたしなめる存在に対する祈りのみが人間の放縦に歯止めをかけ、人類の自己破産をとどめると信ずるからであります。(中略)来るべき二十一世紀を平和の世紀に、祈りの世紀にいたしましょう。」

総本山金剛峯寺座主森寛紹大僧正「世界平和祈願声明」より

舎利会

高野山御室覚法親王が仏舎利二粒を久安二年(一一四六)に金堂に納められた際に創修されたと伝えられる法会。仁王会と同じく特別な大法会において執行されるが、このときは諸事情によりおよそ100年ぶりの執行となった。

結願法会

五月二十日 曇 気温11度 いよいよ50日間の大法会の無魔結願を大師廟前に奉告する時である。(中略)燈籠堂内を埋めた僧侶の胸中に去来するものは、10年の歳月をかけて用意したこの大法会を大盛会裡に奉修でき、宗祖の法愛への万分の一のご恩返しができたという満足感、また50年後の千二百年御遠忌大法会は如何ならんとの思いである。
(中略)
そして、その場に居合わすことができたすべての人々の思いは一つ、「ありがたや 高野の山の岩かげに 大師はいまだおわしますなる」である。

『弘法大師御入定御遠忌紀要』より

いかがでしょうか。50年という歳月の中で、高野山もあらゆる面で変化し続けて参りました。2004年にはユネスコの世界遺産に登録され、国際的にも広く注目を集めました。2015年には高野山開創から1200年の節目を迎え、高野山の地を後世に守り伝えていく決意を新たにいたしました。時には様々な自然災害や疫病の流行など、社会が一変するような事変の中で、私達宗教者が果たすべき役割とはなにかを自問し続けて参りました。

しかし、どれほど時代が移り、社会が変化しようとも、法会という祈りの営みは絶えず続けられてきました。50年前、「来るべき21世紀を祈りの世紀にいたしましょう」とおっしゃった森大僧正の願いは今なお受け継がれています。そして、この祈りの源はお大師さまの「虚空尽き、衆生尽き、涅槃尽きなば、我が願いも尽きん」との誓願にあります。お大師さまからはじまるこの1200年の祈りを未来へ繋いでいく事業こそが御遠忌大法会であります。来る御入定1200年御遠忌大法会では高野山だけではなく、世界中にこの祈りを届け、世の中を明るくすることを使命とし、大法会を遂行する所存でございますので、どうか皆様のご理解とご協力をよろしくお願いいたします。